fujicocoonの散文

再開なのでお手柔らかに

「『テレビは見ない』というけれど」を読んだよ

気になる本が発売されたので早速購入しました。

複数人が寄稿されていますが、全体的に読みやすい文章。

唯一、最後の鈴木みのりさんが書かれた文章がちょっと頭に入ってき辛らかったです。

文体への慣れの問題でしょうね。

 

この本、まずは青弓社という出版社の編集部が企画して、西森路代さんへ相談。

結果、西森さん含む8名に執筆依頼して編著されたそう。

副題に『エンタメコンテンツをフェニミズム・ジェンダーから読む』とあるとおり、言及されているのはバラエティとドラマという2大エンタメコンテンツの可能性と問題点です。

 

題名にもある通り、わたしも普段テレビはほとんど観ません。

録画しておいたアニメで面白そうな内容なら継続視聴、またはtwitterで話題になってるドラマを後追いする程度です。

まぁ普段Twitterは見ているので、何かが炎上してるなーという情報は入ってきます。

でも出来るだけ炎上した情報源に触れないようにと、少しばかり意識して生活してると言ってもいいくらいのテレビ避けっぷり子です。

 

最近は同居人が『イッテQ 』を好んでみるので、ここ1年くらいは横で見てました。それも内容の7割くらいは、見ててしんどいなと感じてしまうほどにバラエティは苦手です。ようやくTver配信が始まったので毎週日曜にリビングで見る必要がなくなってホッとしています。

見なくなってホッとした理由として、例えば芸人さんが転ぶとか、熱湯をかけられるとかそういうので笑えないから。

それどころか、しんどくなるタイプの人間なので、そういうシーンになりそうだなと感じたらすーー…っとリビングを去るようにしています。大体キッチンでお湯沸かしてお茶飲んだりしてます。

 …って、今回はそういったしんどさではなく、フェミニズムジェンダー観点からの違和感や転換期について探っていく本です。

(前置きが長い)

1部がバラエティについて、2部がドラマについてです。

 

第1部、各章どれも説得力のある文章です。しかし残念、普段バラエティを見なさ過ぎて、番組名や第7世代?の芸人さんの名前が出てきてもさっぱり分からん状態です。

ただ前半の章で書かれていたのは、第7世代と呼ばれる芸人さんたちが、これまでのテレビの常識を変えていこうとしているという現状でした。

 

中盤は女性芸人に関する記載で、第7世代ではないけれど渡辺直美への称賛っぷりは数章で書かれており、いかにエポックな存在だったかを知ることができます。

 

後半は性的マイノリティへの暴力性や、ワイドショーが抱えるミソジニーとも思える構造について論じられており、私が普段テレビを見ない理由の大きな部分を代弁してくれていました。

 

 話は少し変わり、こういう場で書いていいのか分からないのですが(でも書く)。

さいころダウン〇ウンの『ごっつ〇え感じ』というバラエティがありまして。あれが苦手でリビングに居たくなかったのを思い出しました。

うろ覚えですが[立場的に弱い人が無理やり失敗させられる]→[罰ゲーム的にシバかれる]を繰り返すというのがお約束の流れだったと思います。

 

 わたしには2歳年上の姉がいて、この『ごっ〇ええ感じ』を見るのが楽しみなタイプの人間です。で、案の定、日常的にこれに似たやり取りをしたがるのががすごく嫌でした。姉は面白おかしく遊んでやってるという風なのがまた腹が立つというか。

どうしても[立場的に弱い]妹であるわたしは、姉のおもちゃにされているんだ。それはダ〇ンタウンのせいだ!とずっと思ってました。(暗黒の妹w)

 

姉は今でも年末のダウンタウ〇の番組は録画して見てるくらい、相変わらず好きなようです。過去何度かは番組をDVDに焼き増しして渡されたこともありました。

どうやら、これは誰が見ても笑える番組だと信じているようです。

まぁ渡されてもわたしが見る訳ないんですが。

因みに本書でもこの年末バラエティに関して言及される章があります。

 

姉には子どもがいるので、一度「ちょっと暴力的すぎない?これで笑っちゃう子になってもいいの?」と問うたところ、「これくらいで笑える人間にならなあかんやろーw」と返されてから、元々あった心の距離がぎゅいーんとさらに遠のきました。

 

子どもたちに「やられたらやり返せ」「シバかれたくらいで泣くな」が口癖の姉を見てると、こうやってホモソーシャルが再生産されてるのかと悲しくなります。

小学生の甥っ子はもうすっかりホモソーシャルに染まり切ってる様子で、見ていて痛々しいくらいです。

 

今回の本で取り上げられている【フェミニズムジェンダーを考える】から大きく逸れてしまいましたが、ホモソーシャルからミソジニーへの転化は容易に想像がつきます。

若者はテレビは見ないというけれど、まだまだ家庭においてテレビが及ぼす影響は大きく、そして子供であるほど無邪気に情報を吸収していきます。

第7世代や女性芸人の活躍といった未来への可能性について、甥っ子の目にはどう映っているのでしょうか。 

 

本書はテレビの問題点を挙げるだけでなく、変わってきていることにも目を向けようと訴えかけてきます。良い悪いの2択ではなく、決めつけない姿勢でいたいとどの章でも結ばれているのでした。

決めつけたくないのは同意するけど、しんどいバラエティを見たくないのは相変わらずなので。

もうしばらくの間、わたしはテレビのバラエティと距離を置くかな…というのが正直な感想でした。

 

第2部ドラマとフェニミズム・ジェンダーはまた後日